ある日机の上に、前の住人からの置き手紙がありました

学生寮に入っている友人も多いのですが、僕はあえて、大学近くのアパートを借り、親からの仕送りとアルバイトで生活しています。学生寮は食事も出ますしセキュリティも万全なので、地方から出てきた学生や特に女子には人気がありますが、寮費がとても高いです。その点この地域は学生街で安い賃貸物件が多くありますから、自炊や節約を心がければ、寮に入るよりリーズナブルに暮らせます。

講義の途中から教室に入ってきて、これ見よがしに愛車の鍵をチャラチャラ慣らしている、お金持ちの同級生を羨ましく思う気持ちもないわけではないのですが、上を見たらきりがありませんし、どうせ彼女もいませんから、つつましく生き、真面目に勉強し、卒業後は大手企業に就職することを目指して頑張っています。

そんなある日、大学から戻ると、机の上に見覚えのない紙を見つけました。今朝はなかったはずですが、本棚あたりから落ちてきたのかと特に気にせずその紙を拾い上げ驚きました。それはなんと、僕以外の、恐らく前の住人へ宛てた置手紙だったのです。手紙の内容からすると前の住人と一緒に暮らしていた女性のようですが、ケンカ別れをしたまま、海外留学に行っていたようです。帰国してすぐにこの部屋に来て、家主が代わっていることも知らずに合鍵で入り込んで、手紙を置いて帰ったのです。これには僕も、背筋が冷たくなりました。

いくら安いアパートだと言っても、住人が代わったら鍵も換えるものだと思っていました。この部屋に入居したのは1年半ほど前ですが、入居時に渡されたのは鍵が2本。この他に合鍵が存在していたなんて、把握していなかった管理会社の落ち度です。合鍵を持っているのですからまた来るかもしれませんし、置手紙の主は家主が代わったことを知らないのですから、不法侵入とも言い難いです。とにかく僕はすぐに管理会社に電話をして、鍵の交換をしてくれるよう要求しました。